染物のお話

染物のお話
Pocket

こんにちは!ワクです。

今日もこうして繋がれたことに感謝です。ありがとうございます。

今回は染物についてお話ししたいと思います。

僕は朝日村へ移住してからいくつかの仕事を掛け持ちでやる「複業」というスタイルで仕事をしています。

その内のひとつが「染色」です。

染色ってなに?って方もいるかもしれませんね。

「藍染め」とか「草木染め」とか聞いたことありませんか?

生地や糸を染める仕事です。

僕は「mito」という屋号で染物屋をしています。

生地を染めたり、染めた生地から服や雑貨を製作したり、既存の服の染め直しなどが主な仕事内容です。

イベント出店の時の作品です。

この染色に出会ったのは東京で暮らしているときでした。

妻の友人に染め職人さんがいて、「ワークショップを開催するので参加しませんか?」というお誘いがありました。

それまで全く染物というものを知らなかった僕は軽い気持ちでそのワークショップに妻と参加しました。

その時受けた衝撃は今でも忘れません。

生地に色を付けるために行う工程の多さ、繊細な手作業、美しい自然の色。

そのワークショップでは手ぬぐいと小さなバッグ、靴下を藍という植物で染めるという内容でした。

真っ白だったそれらは自分の手できれいな藍色に染まりました。

藍染めの染料に入れる前の状態です。
藍染めの染料につけた後の状態。藍染めは染料に浸けては出して空気に触れさせることで発色していきます。

そこから染色の世界にどっぷりはまり、藍染め以外も自分でやるようになりました。

染色は大きく分けて二種類に分類できます。(本当に大きく分けてです。細かく分けるといくつものカテゴリーに分けられます。)

地球上に存在する天然のものから抽出する天然染料と科学的に開発された化学染料の二種類です。

僕は天然染料に魅了されました。

自然のものから人の手によって美しい色が生み出される。

それは遥か昔から先人たちが紡いでいった智慧であり、未来への素晴らしいギフトだと思いました。

この文化を未来へ残していかないともったいないと思いました。

そこから染色について勉強し、自分なりに染色と向き合う日々を送っています。

これはカラマツ染めをするためにカラマツの樹皮と小枝を細かく刻み、鍋に入れているところです。ここから煮出した液体がカラマツの染料となります。
カラマツはとても小さな棘がたくさんあり、煮出した染料を何度も濾していきます。草木染めはこのような手間をいくつも経て、完成させていきます。
朝日村の特産のカラマツで染めた日本手ぬぐい。カラマツは鉄媒染の方がきれいな気がします。優しい風合いのグレーがとても美しいです。

僕が思うに、「染物」はきちんとやり方を知れば誰でもできるものです。

ただ、便利になりすぎた今の世にとって非常に効率の悪い技術であるため、限られた人しかやらない文化になっていると思います。

たしかにめんどくさいことをたくさんやらないと美しい色を出すことはできません。

だけど、そのめんどくさいの先に心が震えるような喜びがあることは確かです。

目が回るようないそがしさの中で、ふっと立ち止まって空を眺める。

そこにはいつも変わらないありのままの空があって、少しホッとするような感じ。

僕にとって染め物はそういうイメージです。

伝わるかなぁ。伝わるといいなぁ。

今回はこの辺で。

なりわいカテゴリの最新記事